無人称動詞とは無人称文の述語となる動詞です。自然現象・生理現象・一般論などを表現する際によく用いられます。必ずしも主格の主語を必要とせず、多くの場合は意味上の主語を与格で表すのが特徴です。（与格以外の場合もある。）この記事では無人称動詞を用いた表現について詳しく解説します。無人称文の意味が全く分からないという方は、以下の記事をお読みください。
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自然現象を表す無人称動詞①
「（日が暮れて）暗くなる」のように自然現象を表現したい時は、無人称動詞を用いて表します。主語は必要ありません。現在・未来時制では三人称単数形、過去時制では中性形をとります。例文を見てみましょう。赤字の部分が無人称動詞です。
- Темнеет.（暗くなってきた。）
- Уже светало.（もう明るいよ。）
- Скоро потеплеет.（もうすぐ暖かくなるよ。）
- Сегодня вечером похолодает.（今夜は寒くなるよ。）
自然現象を表す無人称動詞②
「洪水で家が流された。」のように自然現象の結果として何かが起こったことを伝えたい場合、「動詞 ＋ 自然の力(造格)」で表現します。なお、自然の力を主格主語にして言い換えることも可能です。例文を見てみましょう。一行目が無人称文、矢印で示した二行目が自然の力を主格主語とした通常の文です。どちらの言い方もできます。
- Много домов смыло наводнением.（多くの家が洪水で流された。）
⇒ Наводнение смыло много домов. - Меня ударило молнией.（私は雷に打たれた。）
⇒ Меня ударила молния.
生理現象や体調を表す無人称動詞
「吐き気がする、寒気がする」のように生理現象や体調を伝えたい場合も、無人称動詞が用いられることがあります。現在・未来時制の場合は三人称単数形、過去時制の場合は中性形をとります。意味上の主語は与格ではなく、対格になります。
- Тебя тошнит?（吐き気がするの？）
- Меня знобит.（寒気がする。）
湧き上がってくる感情を表す無人称動詞
湧き上がってくる感情を表現する時も無人称動詞が用いられることがあります。感情は自分の意志で起こすものではなく、なんらかの反応として自然に湧いてくるものなので、自然現象・生理現象に近い性質を持っていると言えるでしょう。主格の主語は示さず、感情を体験している存在を意味上の主語として与格で表します。現在・未来時制の場合は三人称単数形、過去時制の場合は中性形をとります。
- Тебе нездоровится?（気分がよくないの？）※ нездоровиться は体調に関する動詞に近いかもしれません。
- Нам надоело.（私たちはうんざりだ。）
- Если вам взгрустнётся, звоните мне.（落ち込んだら、私に電話して。）
不定人称文で用いられる無人称動詞
「～と言われている・～と呼ばれている」のように、特定の誰かがそう言っているのではなく、人々全般がそう言っている・そう呼んでいるというニュアンスを伝える際も無人称文を用います。この場合、動詞は現在時制では三人称複数形、過去時制では複数形になります。このような文を不定人称文と呼びます。
- Говорят, что в этом озере живёт чудовище.（この湖には怪物が住んでいると言われている。）
- В газете пишут, что умер японский премьер-министр.（日本の総理大臣が亡くなったと新聞に書かれている。）
- Меня зовут Джейн.（私の名前はジェーンです。）⇐ 直訳すれば、人々は私をジェーンと呼んでいるという意味。
一般人称文について
無人称文の中には動詞が二人称単数になるケースがあります。このような文を一般人称文、または普遍人称文と呼びます。主に一般論や普遍的真理を示す際に用いられ、ことわざによく見られる表現です。
- Без труда не выловишь и рыбку из пруда.（なんの苦労もなく池から魚を捕ることはできない。英語の No pain, no gain に相当。）
- За двумя зайцами побежишь — ни одного не поймаешь.（二兎を追うもの一兎も得ず。）
自然現象・生理現象・一般論以外にも無人称文を用いる表現はいろいろあります。以下の記事も参考にしてみて下さい。
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