【ロシア語の許可・可能・禁止・必要】можно, нельзя, нужно, надо を用いた無人称文

ロシア語学習 можно, нельзя, нужно, надо をマスターしよう

この記事では、「〇〇してもよい、〇〇できる、〇〇してはいけない、〇〇する必要がある」などの「許可・可能・禁止・必要」の表現について解説します。これらの表現は無人称文というロシア語独特の構文を用いて表現します。

「許可・可能・禁止・必要」の表現

まずは、ロシア語で「許可・可能・禁止・必要」の意味を表す副詞を見てみましょう。

  • мо́жно ~してもよい、~できる(許可・可能)
  • нельзя́ ~してはいけない、~できない(禁止、不可能)
  • ну́жно ~しなくてはならない(必要)
  • на́до ~しなくてはならない(必要)

【можно】~してもよい、~できる

A は B してもよい のように「許可」を表す表現をロシア語では A (与格) можно B (動詞不定形) で表現します。意味上の主語は人を示す A ですが、文法上の主語は行為である B です。つまり、直訳すると「 B という行為は A に対して許可されている」という意味になります。このように文法上は人称の主語が存在しない文をロシア語では無人称文と言います。

  • Ей можно делать всё, что она захочет.(彼女がしたいことは何でもしてよい。)
  • Вам можно оставаться там.(そこにいていいですよ。)
  • Мне можно пить вино?(ワインを飲んでもいいですか?)

можно は許可の意味だけではなく、「〇〇できる(可能) 」の意味で用いられることもあります。

  • Из ресторана можно видеть весь парк. (レストランから公園全体を見渡すことができる。)
  • Приходите сюда как можно скорее.(できるだけ早くここに来てください。)
  • Я сделал всё, что можно.(私はできることは全てした。)

「можно?」と許可を求められた時は、以下のように答えましょう。
Yesの場合 ⇒ Да, можно.(はい。いいですよ。)
Noの場合 ⇒ Нет, нельзя.(いいえ。だめです。)
※いいえの場合は、「Нет, нельзя.」です。「Нет, неможно.」ではないので、注意!

Мне можно отдыхать? (休んでもいいですか?)

Нет, нельзя. (いいえ、ダメですよ。)

【нельзя】~してはいけない、~できない

A は B してはいけない のように「禁止」を表す表現をロシア語では A (与格) нельзя B (不完了体動詞不定形) で表現します。можно と同様に無人称文で表します。なお、全ての人が対象の場合、A が省略されることがあります。

  • Здесь нельзя курить. (ここは禁煙です。)
  • Туда нельзя заходить.(そこに入ってはいけません。)
  • В библиотеку нельзя проносить еду.(図書館は食べ物持ち込み禁止です。)

нельзя には A は B できない (不可能)  の意味で用いられることもあります。その場合は、 A (与格) нельзя B (完了体動詞不定形) で表します。

  • Нельзя купить счастье. (幸福はお金で買えない。)
  • Права человека нельзя отнять.(人権を奪うことはできない。)
  • Никому нельзя разрушить наши узы.(誰も私達の絆を壊すことはできない。)

нельзя が禁止の意味で使われているのか、不可能の意味で使われているのかは、不完了体動詞か完了体動詞かで見分けます。
нельзя + 不完了体の場合 ⇒ その行為が禁止、または望ましくないことを表す。
нельзя + 完了体の場合 ⇒ その行為が不可能であることを表す。

【нужно】~しなくてはならない

A は B しなくてはならない のように「必要」を表す表現をロシア語では A (与格) нужно B (動詞不定形) で表現します。

  • Мне нужно сдать этот экзамен. (私はこの試験に合格しなくてはいけない。)
  • Завтра ей нужно встать в семь часов.(明日、彼女は7時に起きなければならない。)
  • Нам нужно поговорить.(私達は話す必要がある。)

【надо】~しなくてはならない

A は B しなくてはならない は нужно の代わりに надо を用いて表すこともできます。その場合は A (与格) надо B (動詞不定形) で表現します。

  • Тебе надо есть овощи. (野菜を食べなきゃダメだよ。)
  • Сегодня мне надо остаться дома.(今日は家にいなくてはいけないんだ。)
  • Вам надо вести себя осторожнее.(あなたはもっと慎重に行動しなくてはいけません。)

нужно と надо は肯定文で用いられるときは意味上の大きな違いはありません。しかし、否定文で使われるときは、意味が変わってくることがあるので、注意!
не нужно ⇒ 〇〇する必要はない。
не надо ⇒ 〇〇する必要はない。〇〇してはいけない。※どちらの意味かは文脈で判断。

  • Тебе не нужно спешить.(慌てる必要はないよ。)
  • Нам не надо подчиняться ему.(私達は彼に従う必要はない。)
  • Не понимаю, почему мне не надо этого делать.(なぜこれをしてはいけないのか分からない。)

【нужно】

名詞とともに用いられる場合

надо は名詞と共に用いられることはありませんが、 нужно は名詞と共に用いられることがあります。「お金が必要、ミルクが必要」など。この場合、名詞の性・数によって нужно が変化します。

男性名詞単数 ⇒ ну́жен

女性名詞単数 ⇒ нужна́

中性名詞単数 ⇒ нужно́

複数名詞⇒ нужны́

  • Нам нужен твой совет. (私たちは君の助言が必要。)
  • Мне нужна твоя помощь. (私はあなたの助けが必要。)
  • Маме нужно молоко. (ママはミルクが必要。)
  • Нам нужны деньги. (私たちはお金が必要。)

なお、нужно が動詞不定形とともに用いられるときは、アクセントは前で ну́жно ですが、中性名詞とともに用いられるときは нужно́ とアクセントが後ろに移動しますので注意しましょう。

過去時制で用いられる場合

「〇〇が必要だった」という風に過去に何かが必要だったことを表現する場合、быть の過去形を付け加えます。быть も名詞の性・数によって был, была, было, были と変化します。
関連記事:存在動詞 быть の使い方(現在形・過去形・未来形)

  • Мне нужен был билет. (私はチケットが必要だった。)
  • Ему нужна была любовь. (彼には愛が必要だった。)
  • Ей нужно было время. (彼女には時間が必要だった。)
  • Детям нужны были родители. (子供達には両親が必要だった。)

未来時制で用いられる場合

現在において必要なのではなく、未来において何かが必要になる場合、быть の未来形を付け加えます。単数名詞の場合は будет、複数名詞の場合はбудут となります。

  • Позвони мне, если нужна будет моя помощь.(私の助けが必要になったら、電話して。)
  • В будущем нам нужны будут деньги на новый дом.(将来、私達は新しい家のためにお金が必要になるだろう。)
  • Нам нужна будет более крупная квартира для будущего ребёнка.(私達は生まれてくる子のためにもっと広いアパートが必要になるだろう。)

無人称文は他にもいろいろあります。以下の記事も参考にしてみて下さい。
関連記事:【無人称文】形容詞短語尾を用いて天気・気温・気分・感情を表現
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