「〇〇しろ、〇〇して」のように、誰かに何かを命令したり、お願いしたりすることは日常生活でよくありますね。ロシア語の動詞には完了体と不完了体がありますが、命令法ではどちらを使うかによって意味が少し変わってきます。この記事では、ロシア語の命令法とその際の完了体・不完了体の使い分けについて解説します。
ロシア語命令法:完了体・不完了体の使い分けの基本
私が初期の頃に使っていたロシア語の参考書によると、命令法の完了体・不完了体に関する説明文として、以下のように記述されています。
- 結果が必要で、「必ず~して」という場合 ⇒ 完了体で命令
- 結果が必要でなく、「よかったら~して」という場合 ⇒ 不完了体で命令
- 「~しないで」と禁止する場合 ⇒ не + 不完了体で命令
- Позвони́. 必ず電話して。
- Звони́. よかったら電話して。
- Не звони́. 電話しないで。
実際の命令法は、この説明でこと足りるほど単純ではないのですが、まずはキホンのキとして、上記のルールを覚えておくとよいと思います。
ロシア語命令法:完了体・不完了体の使い分け応用編
ロシア語命令法:反復行為に対する命令・依頼の場合
複数回にわたる行為、反復的行為に対する命令・依頼は、不完了体が使われます。
- Принимайте эту таблетку каждый день. (毎日この薬を飲んでください。)
- Чистите зубы после еды. (食後に歯を磨きましょう。)
ロシア語命令法:過程に対しての命令・依頼
動作の過程(やり方)に対しての命令・依頼は、不完了体が使われます。
- Веди себя осторожно. (慎重に行動して下さい。)
- Ешьте медленно. (ゆっくり食べて下さい。)
ロシア語命令法:動作の開始を促す場合
今すぐ行動を開始してほしい場合、不完了体が使われます。
- Вызывайте скорую! (救急車を呼んで下さい!)
- Начинайте собрание. (会議を始めて下さい。)
ロシア語命令法:招待・許可
招待・許可の意味を表す場合は、不完了体が使われます。
- [招待] Приходите в любое время. (いつでもいらして下さい。)
- [許可] Берите что хотите. (お好きな物を取って下さい。/取っていいですよ。)
ロシア語命令法:【не + 完了体】の場合
否定形の命令法の場合は、基本的に不完了体が使われます。しかし、【не + 完了体】になることもあります。それはどういう時かというと、『忘れ物をしないで、ケガをしないで、大事なものをなくさないで』などのように、うっかりやってしまいそうなことに対して、注意を促す場合に【не + 完了体】が使われます。
ロシア語命令法「не + 完了体」の例
- Не потеряй ключ. (鍵をなくさないで。)
- Не забудьте билет. (チケットを忘れないで下さいね。)
- Не опоздай на поезд. (電車に乗り遅れないで。)
ロシア語を勉強していると、これらのルールにあてはまらない場合にも遭遇するのですが、基本的なルールとして頭に入れておくとよいと思います。
関連記事:ロシア語動詞のアスペクト:不完了体動詞と完了体動詞の違いと使い分け