【ロシア語接続詞】「~ということ」を表す что と чтобы の用法と使い分け

【ロシア語接続詞】「~ということ」を表す что と чтобы の用法と使い分け

ロシア語の что は「何」を意味する語ですね。しかし、что は「~ということ」を表す接続詞としての働きもあります。この用法は英語の that が接続詞として用いられる際の用法とよく似ています。この記事では、「~ということ」を意味する что の使い方と代わりに чтобы が用いられるケースについて解説します。

事実・情報・意見を伝える что

ロシア語の説明の前に、英語の that の接続詞としての用法を思い出してみて下さい。
I know that you are right.(私はあなたが正しいということを知っている。)
この文章では that you are right の部分が I know の目的語になっており、「あなたが正しいということ」という事実を表していますね。これから学ぶ что もこれと同じです。что の節が「~ということ」という意味になります。что の後には事実・情報・意見などを表す文が続きます。

  • Я знаю, что он лжец.(私は彼が嘘つきだということを知っている。)
  • Он думал, что отец украл его деньги.(彼は父親が彼のお金を盗んだのだと思った。)
  • Говорят, что это место проклято.(この場所は呪われていると言われている。)

что と то, что の違い

上記で学んだように что を用いて、事実・情報・意見を伝える文は то, что で表すこともできます。どちらも同じ意味ですが、что の節が主格・対格の場合は то は省略可能であるのに対し、それ以外の格の場合は省略できません。また、то は文に応じて格変化します。

主格 生格 与格 対格 造格 前置格
то того́ тому́ то тем том
  • Он сказал то, что его отец умер.(彼は父が亡くなったと言った。)
    ⇒ что の節が対格なので、то は省略可能。
  • Отец гордится тем, что его сын окончил Университет Токио.(その父は息子が東大を卒業したことを誇りに思っている。)
    ⇒ гордиться は造格をとるので тем, что
  • Мать беспокоится о том, что её дочь бросила работу.(その母は娘が仕事をやめたことを心配している。)
    ⇒ беспокоиться о は前置格をとるので、том, что

希望・要望・依頼・命令を伝える чтобы

「~ということ」を表す際に что ではなく чтобы が用いられるケースがあります。希望・要望・依頼・命令を伝えたいときがそれに該当します。ここで重要なのは чтобы の節は必ず過去形になる点です。たとえ現在のことについて述べていても過去形になります。一方、先に学んだ что の節は全ての時制(過去形・現在形・未来形)のどれでも使えます。

  • Я хочу, чтобы ты вернулся.(私はあなたに戻ってきてほしい。)
  • Скажите ему, чтобы ждал меня там.(彼にそこで私を待つように言ってください。)

上記のように чтобы が使われるのは、主節の主語と чтобы の節の主語が違う場合です。この説明だけだと分かりにくいので、例を見てみましょう。

  • Я хочу купить машину.(私は車を買いたい。)
    ⇒自分自身で車を買いたいと思っている。
  • Я хочу, чтобы мой отец купил машину.(私は父に車を買ってほしい。)
    ⇒買ってほしいと思っているのは私である一方、買うことを要望されているのは父。

чтобы のみをとる動詞

ロシア語の動詞には что と чтобы のどちらもとる動詞と чтобы しかとらない動詞があります。以下に чтобы しかとらない動詞を一覧にしました。

日本語 ロシア語
欲しい хоте́ть
願う жела́ть
お願いする проси́ть
要求する тре́бовать
命令する прика́зывать
  • я не желаю, чтобы со мной говорили.(誰とも話したくない。)
  • Я просила его , чтобы он пришёл рано.(私は彼に早く来るように頼んだ。)
  • Она требовала, чтобы они вернули деньги.(彼女は彼らにお金を返すよう要求した。)
  • Король приказал, чтобы все ушли.(王は全員立ち去るように命じた。)

что と чтобы のどちらもとる動詞

что と чтобы のどちらもとる動詞に関しては、どちらを用いるかによって意味が全く変わるので注意しましょう。

  • Он сказал, что от него ушла жена.(彼は妻が彼のもとを去ったと言った。)
    ⇒ что が使われているので、「妻が彼のもとを去った」という事実を示している。
  • Он сказал, чтобы от него ушла жена.(彼は妻に彼のもとから去ってくれと言った。)
    ⇒ чтобы が使われているので、「妻に彼のもとから去ってほしい」という要望を示している。

необходимо, чтобы の表現

A は B することが必要というように何らかの行為の必要性を主張する表現にも чтобы が用いられます。英語の it is necessary that A + B に相当する表現ですが、ロシア語では необходимо, чтобы A + B (過去形) で表します。необходимо は「必要な、不可欠な」を意味する形容詞 необходимый の短語尾形です。なお、「〇〇することが必要」の表現は他にもいろいろあります。以下の記事も参考にしてみて下さい。
関連記事:「可能・許可・禁止・必要」の表現 можно, нельзя, нужно, надо を用いた無人称文

  • Необходимо, чтобы пациент достаточно отдыхал.(その患者は十分な休息をとることが必要だ。)
  • Необходимо, чтобы вы изучали английский язык.(あなたは英語を学ぶことが不可欠だ。)
  • Необходимо, чтобы мы избегали опасностей.(私達は危険を避けることが必要だ。)

чтобы には「〇〇のために」のように目的を示す際にも用いられます。英語の in order to に相当する表現です。詳しくは以下の記事を参考にしてみて下さい。
関連記事:ロシア語の理由表現「なぜ、なぜなら、だから」почему, зачем, потому что, поэтому の使い方