ロシア語では、これ=это/あれ=тоですね。ロシア語学習を進めるうちに、これらの語の使い分け方が、日本語の「これ/あれ」とは微妙に違っているように感じました。そこで、ロシア語ネイティブの方々はこれらの語をどのような基準で使い分けているのか、調べてみました。まずはネットで検索してみたのですが、ほとんど情報らしい情報はなし。でも、大丈夫!英語でリサーチしてみたら、かなり具体的な説明にたどり着くことができました。本日はそれをシェアしたいと思います。
ロシア語指示代名詞 этоとто 使い分けの基準
ロシア語の参考書によると、「自分から見て近くにあるものは это、遠くにあるものは то」となっています。しかし、この説明ではどのくらい遠くにあれば、это ではなく то になるのかが判明しません。そこで、つっこんで調査してみました。
Redditで得られた回答
米国のソーシャルサイト Reddit で以下のような投稿を発見しました。タイトルは『этоとтоの違い』。そのスレッドの中に、以下の記述がありました。
In Russian, это is the default pronoun and то is its out-of-reach stand-in. As I mentioned in your previous post's thread, то is similar to English "that over there" or "yonder".
引用元:Difference between то and это
以下、翻訳。
ロシア語では、это がデフォルトの代名詞で、то は指し示すものが手の届かないところにある時に代わりに使われます。以前のスレッドでも言及したように、то は英語の "that over there (向こうのあれ)" や "yonder (向こう側)" に似ています。
この方の解説によると、этоを使うかтоを使うかの基準は、手の届く範囲内にあるかどうかということのようですね。
YouTubeで得られた回答
YouTubeで見つけた以下のロシア語講座では、「手が届くかどうか」とは言っていませんが、やはり距離感が決め手となることを示しています。また、過去形の場合は то を使うと説明されています。さらっとした説明しかなかったので、ここから先は私の推測ですが、過去には存在したけど、今現在はここにはないものを指し示したい時には то を使うということだと思います。つまり、это と то の使い分けには物理的な距離だけでなく、時間的な距離も関係すると私は解釈しました。例えば、過去に乗っていたけど、現在はその車は自分のところにない状況で、「あの車(遠い過去の車)は素敵だった。」という時などに то が使われるのだと思います。以下の動画は100%ロシア語による解説ですが、英語の説明分が併記されており、非常に分かりやすい解説でした。参考にしてみて下さい。
ロシア語指示代名詞の変化
ロシア語の指示代名詞は、それが指し示す名詞の性によって変化します。こちらもあわせて、覚えておきましょう。なお、この記事では分かりやすく説明するため、主格のみを掲載しています。
男性 | 女性 | 中性 | 複数 | |
---|---|---|---|---|
この | э́тот | э́та | э́то | э́ти |
あの | тот | та | то | те |
指示代名詞+名詞の例
- э́тот слова́рь この辞書
- э́та кни́га この本
- э́то я́блоко このリンゴ
- э́ти лю́ди これらの人々
- тот самолёт あの飛行機
- та маши́на あの車
- то де́рево あの木
- те де́ньги あれらのお金