【ロシア語再帰動詞】全部で5種類! ся動詞 (シャー動詞) を徹底解説

ロシア語再帰動詞 ся動詞(シャー動詞)を徹底解説

ロシア語の動詞は多くの場合、末尾が -ть で終わります。しかし、-ть の後にさらに ся が付く動詞があります。このような動詞を再帰動詞、通称シャー動詞と呼びます。ся が末尾にくっついているだけで、なんだか難しそうな気がして避けて通りたくなる人も多いかもしれませんが、 ちゃんと理解するとそんなに難しくないです。ся動詞は大きく分けて5種類あります。例外もあるので、必ずしもこの5種類に当てはまらないものも沢山ありますが、とりあえず基本の5種類を覚えておくとロシア語の勉強がかなり楽になります。この記事では、ロシア語の再帰動詞について解説します。

ロシア語再帰動詞の変化

    第一変化 第二変化
現在形 不定形 одева́ться
洋服を着る
учи́ться
学ぶ
я одева́юсь учу́сь
ты одева́ешься у́чишься
он, она, оно одева́ется у́чится
мы одева́емся у́чимся
вы одева́етесь у́читесь
они одева́ются у́чатся
過去形 男性 одева́лся учи́лся
女性 одева́лась учи́лась
中性 одева́лось учи́лось
複数 одева́лись учи́лись

ся動詞の変化は、ся の付いてない通常の動詞の変化の末尾に ся または сь をくっつけます。(通常の動詞変化の末尾が子音の場合は ся, 母音の場合は сь を付けます。)-ться, -тся の発音は「ッツァ」となります。
例:занима́ться(ザニマーッツァ)、занима́ются(ザニマーユッツァ)
なお、ся動詞の中には ся の付かない通常の動詞を持たないものもあります。

自分に対して何かをする時の再帰動詞

「体を洗う」と言った場合、お風呂に入って自分自身の体を洗う場合と赤ちゃんなど別の人をお風呂に入れてあげて体を洗う場合の2種類の意味が考えられますね。ロシア語では、他人に対して何かをする場合は通常の動詞を用い、自分自身に対して何かをする場合は ся動詞になるパターンが多くあります。

  • Мать купала ребёнка.(その母親は子供をお風呂に入れた。)
    ⇒ 自分以外の誰かををお風呂に入れてあげる場合 купа́ть
  • Летом я купаюсь каждое утро.(私は夏場は毎朝お風呂に入る。)
    ⇒ 自分自身をお風呂に入れる場合 купа́ться
  • Девочка одевала куклу.(少女は人形に洋服を着せた。)
    ⇒ 自分以外の物に洋服を着せる場合 одева́ть
  • Она одевалась.(彼女は洋服を着た。)
    ⇒ 自分自身に洋服を着せる場合 одева́ться
  • Медсестра брила пациента.(ナースは患者のひげを剃った。)
    ⇒ 自分以外の人のひげを剃る場合 брить
  • Я бреюсь почти ежедневно.(私はほぼ毎日ひげを剃ります。)
    ⇒ 自分自身のひげを剃る場合 бри́ться

直接目的語をとらない自動詞の再帰動詞

「会議を始める」のように直接目的語(この場合は会議)をとる動詞と「コンサートが始まる」のように直接目的語をとらない動詞があります。つまり、他動詞と自動詞ということですが、ロシア語では他動詞を通常の動詞で表し、自動詞を ся動詞で表すことがよくあります。

  • Мы начали собрание в 10 часов.(私たちは10時に会議を始めた。)
    ⇒ 会議という直接目的語をとるので、他動詞 начать
  • Концерт начался в 6 часов.(コンサートは6時に始まった。)
    ⇒ 直接目的語をとらないので、自動詞 нача́ться
  • Они закончили работу.(彼らは仕事を終えた。)
    ⇒ 仕事という直接目的語をとるので、他動詞 зако́нчить
  • История закончилась смертью героя.(物語は英雄の死で終わった。)
    ⇒ 直接目的語をとらないので、自動詞 зако́нчиться
  • Он открыл дверь.(彼はドアを開けた。)
    ⇒ ドアという直接目的語をとるので、他動詞 откры́ть
  • Дверь открылась.(ドアが開いた。)
    ⇒ 直接目的語をとらないので、自動詞 откры́ться
  • Он менял правило.(彼はルールを変更した。)
    ⇒ ルールという直接目的語をとるので、他動詞 меня́ть
  • Мир постоянно меняется.(世界は絶えず変化している。)
    ⇒ 直接目的語をとらないので、自動詞 меня́ться

感情や心の状態を表す再帰動詞

再帰動詞の中には、人物の感情や内面的状態の変化を示すものがあります。この場合も ся のつかない通常の動詞と他動詞・自動詞の関係になっていることがよくあります。(例外あり。)

  • Я не разочарую вас.(私はあなたを失望させません。)⇒ 他動詞 разочарова́ть
  • Я разочаровался в тебе.(君にはがっかりだよ。)⇒ 自動詞 разочарова́ться
  • Не серди меня.(私を怒らせないで。)⇒ 他動詞 серди́ть
  • Не сердись на меня.(怒らないで。)⇒ 自動詞 серди́ться
心の状態に関する動詞
  不完了体動詞 完了体動詞
怖がる боя́ться забоя́ться
怒る серди́ться рассерди́ться
喜ぶ ра́доваться пора́доваться
楽しむ весели́ться повесели́ться
落胆する разочаро́вываться разочарова́ться

相互の意味を持つ再帰動詞

ロシア語の再帰動詞には「相互」の意味を持つものがあります。例えば、「обнима́ться 抱き合う」のように二人の人が同時に同じ動作をし合う場合などがそうです。

  • Они обнимались.(彼らは互いに抱き合った。)
  • Парочка поцеловалась.(カップルはキスし合った。)
  • Нам нужно встретиться.(私たちは互いに会う必要がある。)

受け身の意味を表す再帰動詞

再帰動詞には受け身の意味を表すものがあります。受け身の意味で使われるのは原則的に不完了体動詞のみに限定されます。

  • Дорога строится.(道路が建設されている。)
  • Этот продукт хорошо продаётся за рубежом.(この商品は海外でよく売れている。)
  • Эта гора называется Фудзияма.(この山は富士山と呼ばれている。)
  • Земля считается шаром.(地球は球体だと考えられている。)

通常の動詞を持たない再帰動詞

再帰動詞の中には ся の付かない通常の動詞を持たないものもあります。
例:нра́виться(好む), улыба́ться(微笑む), смея́ться(笑う), наде́яться(望む), горди́ться(誇りに思う), сади́ться(座る), ложи́ться(横になる), боро́ться(戦う)
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