
ロシア語で「〇〇を持っている。」という表現には、動詞 иметь を用いた表現と 前置詞 у + 存在動詞 есть を用いた表現の2種類がありますが、それぞれ使い方に違いがあります。この記事では、「〇〇を持っている」の表現について、分かりやすくまとめました。
【AはBを持っている】У A есть B
AはBを持っている = У A(生格) есть B(主格)
「車を持っている、パソコンを持っている」などのように、物を持っていることを示したい場合、一般的にこの表現が用いられる。直訳すると「AのところにBがある」という意味。意味上の主語は所有者であるAだが、文法上の主語は所有物であるBとなる。Aは常に生格。生格が分からない方は、以下の記事を参照。
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- У моего отца есть ноутбук.(私の父はノートパソコンを持っている。)
- У моего брата есть кот.(私の兄は猫を飼っている。)
- У семьи есть кошка.(その家族は猫を飼っている。)
- У старика много денег.(その老人はお金をたくさん持っている。)
【У A есть B】Aが人称代名詞の場合
У A(生格) есть B(主格) のAに人称代名詞(私、君、彼、彼女、私達、あなた達、彼ら)がくることはよくあるため、丸暗記推奨。
※人称代名詞の3人称が前置詞と共に用いられるとき語頭に н が付く。以下、生格の場合。
его - 彼 ⇒ него
её - 彼女 ⇒ неё
их - 彼ら ⇒ них
- У меня есть машина.(私は車を持っている。)
- У тебя есть словарь?(君は辞書を持ってる?)
- У него есть братья.(彼には兄弟がいる。)
- У неё есть ребёнок.(彼女には子供がいる。)
- У нас есть большой дом.(私達は大きな家を持っている。)
- У вас есть смартфон?(あなた達はスマートフォンを持っていますか?)
- У них есть лодка.(彼らはボートを持っている。)
【所有表現】у меня есть と у меня の違い
У A есть B の構文は есть が省略されて、У A B となることがある。両者の違いは、「持っている」という所有の意味を最も伝えたい時は、У A есть B を用い、所有以外の別のことを最も強調したい場合は есть を省略する。
- У меня есть машина.(私は車を持っている。)⇐ 「持っている」ということを最も伝えたい。
- У меня быстрая машина.(私は速く走る車を持っている。)⇐ 「早く走る車」であることを最も伝えたい。
【AはBを持っている】A иметь B
AはBを持っている = A иметь B
車やパソコンのように物を所有していることを示したい場合には、通常 иметь は用いられない。иметь は主に権利・関係・可能性・ビジネス・意味などのように抽象的存在に対して用いられる。
格変化 | |
---|---|
不定形 | име́ть |
я | име́ю |
ты | име́ешь |
он/она/оно | име́ет |
мы | име́ем |
вы | име́ете |
они | име́ют |
- Мы все имеем право быть счастливыми.(私達はみな幸せになる権利がある。)
- Он не имеет никакого отношения к этому делу.(彼はこの件とは一切関係ない。)
- Я хочу иметь возможность получить хорошую работу.(私はよい仕事につくチャンスが欲しい。)
- Неприятно иметь дело с ним.(彼とビジネスをするのは不快だ。)
- Продолжать это делать не имеет смысла.(これをやり続けることに意味はない。)
- То, что он сделал, больше не имеет никакого значения.(彼のしたことには最早なんの意味もない。)
- Что ты имеешь в виду?(それはどういう意味?)
У A есть B の表現が「AはBを持っていない」のように否定文で用いられる時、否定生格という特殊なルールが適用されます。詳しくは以下の記事をお読みください。
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